この曲は私にとってはなんというか、挑戦でした。
良い曲だなあ良い曲だなあと思っていたけど、なんでしょう。
深窓の令嬢みたいなイメージだったし、まだそんな世界に土足で入るみたいなことが出来ないんじゃないか、という。
要するに食わず嫌いに似たような感情がありまして。
しかし、そんなこと言ってたらじゃあいつやるんだ、
そういえばもう20歳ですわよ、
ということでちょっと挑戦してみようじゃないの。
と思って、やってみることにしたんです。
後はファブリス・モレッティさんが来日し、幸運にもその彼のレッスンを受けられるということで、それならフランスモノがいいでしょうということで。
初めて波多江先生のところに持っていったら繊細すぎるだのつっまんねーだの。
なんだよー でも絶対フォルテがんがんに出していったらうっさいしうるさいしうっさいしってなるかやん。
でも最初から出すとこ出さないとつまらない、最後で爆発したいんだって気持ちはわかるけど最初につかまないと結局聞いてもらえないど?と。
平賀さんにもレッスンをしてもらいましたが、例えば連符とかであまりに時間に正確にやりすぎるとつまらないと。
しかしモレッティ氏には「君がいろいろやりたいのはわかるけどそれは楽譜に書いてはない。デフォルメするな!」と。
なんなんだよー どっちなんだよー
↑・・・と書くと、なんかすげー苦労したように思いますが、実のところいつもより全然苦労していない。
ただ、バランスとか、言葉にするとなんだかとても苦労した感じがあるが、案外すんなりやってすんなり吐き出したような気もするのです。
ただ思ったのは、自分が思うほど彼女の音楽は繊細じゃなく、
しかし私が思うよりも丁寧で綿密な世界。
結局彼女のその世界観をどこまで紐解けたのかはわからない。
そして私の演奏そのものも、確かにいつもと違う感じはあったけど、今までとアプローチの仕方がどう違うのかというと、そこのあたりは実のところよくわかってはいない。
ただ、いつもとは違ったんですね。
本当は練習の中で結論を出して、本番でそれを単にプレゼン☆ってしたかったけど、
実際やってみたら練習とは違ったんです。いろいろ。
練習はもっとおとなしかったんだけどなあ〜。
(先生曰く、その辺に関してはよく均衡が取れてて良かったと。)
バイトだバイトだ言ってたし、サックスそのものに向き合ってる「時間」そのものは決して長いものではなかったし、それこそ高校生時代の方が時間的には多く向き合っていましたが、
まあ曲自体が想像しやすいのも手伝って、短い時間で少しは何かに近づく事が出来たんじゃないかと思います。
あるいは単に演奏した時運がよかったのか。笑
いや〜やっぱ想像しやすいのがよかったかな。
聞いてるお客さんからしてもわかりやすい曲なのだと思います。
ということで、MCはしょってもそーんな問題ないという。笑
(曲によってはそれこそ分かりづらかったりすると最初にこういうイメージ、とイメージ像をMCで渡した方が親切でしょ。)
演奏はそれこそそんなにしゃべらなかったからかなあ。
なんかずっと爆弾抱えてるような、ずっと安心出来ない感じでした。
だからといって縮こまっていたわけではありません。だからやっぱりいいバランスの中で出来たのかな?
3はまだまだでした。ダメだね。あれは。バッサリ言うけど。少なくとも他の楽章とちょっとメンタルも違ったし。途中からなんとかフツーに戻れましたがあれで満足してるようでは終わりでしょう。
結果に固執しないけど、こだわりたいと言った。
今年最初、まあ良いスタートを切った本番とは言えます。
終わった後のあの安堵感はここ最近ありませんでしたから。
ただ、パーフェクトではなかったですから、今年はもちょっと、もっと、内容も出来もメンタルもその辺もろもろ全てこだわっていきたいです。
ここで安堵してる場合ではない。
やっぱり年内にリサイタルをやってみようかなあとも思っています。
それにしても終わった後はなんか解放はされたけど、喜びとかなんかそういうのとは違うような。楽しかった!ではない。
自分が自分の演奏に感動するなんてまずあり得ないけど、なんかそれに近いよーな感覚なのかと思ったら、案外もっと、せいせいしたものだったような。
終わった直後はもう1回やりたいなんて考えられないぐらいぼーー・・・っとしながら次のイベールを聞いてましたが、今じわじわとあの微妙な緊張感となんかもう少しでブレイクスルー出来るんじゃないかというせめぎ合いのなかで演奏したいですね。
あ、もしかしてあの感覚なのか?
フローの状態ってやつとは多分違うんですが(精神状態の一種てところかな。後日詳細解説。)、
微妙なストレスを感じ続け、その最中は全く余裕もなかったような感じだったし。
でもそんなに迷わず、しかししかし表現的にはどこか解放したような。
もっと音楽の中で漂えたら違うんだろうなあ〜。もっと出来たかな、と。
それと恐らくあそこに余裕が生まれるともう少し楽しめて、いわゆるフローの状態になれるのではないかと。
まだやる事はたくさんある。
そんな事を思った新年一発目の本番でした。
課題ありつつ、でも今きっと自分が出来る事はやれたんだろう。
またデュクリュックなり、他の曲なり。頑張ります。